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みんなのエッセイ

「明るい高齢社会」  鳥越九郎

高齢化社会というと、介護だの認知症だのと暗い話ばかりと思われるが、暗くなるのではなく、活路を見出しワクワクする面もある。
確かに若い頃のワクワク感といえば、気の合った友人との徹底した遊び心や、美人や美男子に出会った時のことを思い出すだろう。

戦後、日本でも新しい経済環境が生まれ、どんどん世の中が明るくなり、日本中が大繁栄の時代が訪れたのである。
戦中・戦後の暗い時代から、世界一流の国を求めて、日本は成長しつづけたのである。

昭和40年代になると、戦争前から生めよ増やせよと言われ、生まれた国民は既に結婚し、一家族で子供が5人や8人という大家族があたり前の時代となった。

ところが成長する国が成熟してしまうと、晩婚が多くなるばかりか結婚せず独身で優雅な生活を謳歌しようと考えるようになる。

だから徐々に人口は減り、にも拘らず社会保障や介護・医療も発展し、両親や祖父母も益々元気で80歳、100歳まで生き永らえるようになる。
これでは年寄りが増えれば増える程、若者達に負担が増え、税金も収入もない、停年で職場を追われた年寄りの生活費や医療介護費用にばかり使われてしまうのである。

一日中スポーツや旅行などをしていられる内はまだ良いが、その内寝たきりになったり、ボケたりとなれば、周囲に大きな負担を掛けることとなる。
中にはそれをいやがり、安価な海外に移住する人や、自ら命を絶つ人も。

介護施設や高齢者専門の病院などを垣間見ると、うんざりする。
看護師の苦労や、逆に寝たきり老人へのイジメなどの報道には暗い話ばかり。

ところがである。
ほんの一部ではあるが、老人ホームや福祉施設の対応が変わってきたのである。
これまでは徐々に体力の衰え始めた人を、いかにラクして、早く手を懸けなくてよいように寝た切りにさせるかが仕事だったようにも見える。

しかし欧米から伝わった医療介護は、本人自らがリハビリをし、自立するまで指導するのが看護師の仕事だという。
従って、あたかも母親が赤ん坊をあやすようにジイサン・バーサンを馬鹿者
扱いにし、しかも食べ物はドロドロの流動食を与え、歯でかまないため更に脳が働かなくなる。
歩かせず、車イスに乗せ運動どころか益々腸さえも働かなくなる。
そこで下剤や下痢止めを交互に与えて、動けなくなるのを待つ。

そうすれば歩行介助やトイレにつれて行かなくても済む。楽になるのである。
これが介護か?
所が、最近医学の発達から長寿命且つ自立化という、欧米では当然のテーマが日本でも普及しはじめたのである。

先日、医療介護機器の産学官連携研究会が開催された。
そこで、医療現場で使うべき様々な機器を開発している大学や企業が発表した。
ロボットや癒しのグッズなど最先端の技術を使って完成させた商品。だが、大学のアイディアや日本人特有の、世界一の特別商品を開発したのだという優越感からか、販売価格は工業用製品と比較すると10倍~20倍する価格。

例えば、リハビリ用の両脚用の補助具は1年リースで220万円を越える。
国内の150施設で合計330台しか売れていない。

また、眼をパチクリしながら頭や尾っぽを動かすアザラシのぬいぐるみが1匹40万円。
確かに老人へのいやし効果は大きい。そのぬいぐるみでさえ国内で2,000匹程度。
欧米までも販路を伸ばしても、販売から5年以上経過した今でも3,000台程度。
もう少し価格を下げることができないのか。

更に最先端のソフトウェアを導入したロボットもある。
背丈が40cm程の見た目は昔からのロボットの型をした機械そのものの機器。
しかし、患者や人が話しかけるとすぐに対応し、相手の感情や声の特徴、興味・趣味までキャッチし、いろいろな情報や遊びを持ち掛け、一緒に遊んでくれる。
反応も速く、患者の興味をそそる情報を確認して、すべて言葉で回答してくれる。

介護施設に入れられてしまった独居老人などは廻りとの会話でさえしたくない。
益々孤独化し、脳が働かなくなる。そうした孤立者が、このロボットで笑顔と会話が回復したという多くの事例も報告されている。

問題もある。
このロボットが旗振りをしたり、一緒に歩いたりすることもできるが、何せ小さい。
しかも触ってみると硬い金属ボディや、眼はLED。
握手することも、抱きかかえることもできない。
眼はアザラシのぬいぐるみマスコットのようなパチクリもしてはくれない。

ソフトは世界一流のものだが、メカと構造は冷たい。
もっとアザラシマスコットのような、やさしさと可愛さを出せないかとメーカーの人に話すと、創業社長がすべて自社で作ったものだから自社以外で作ることも、改良することも断っているという。
残念!しかもロボット1体67万円という。

それぞれのロボットは、すべて産学官で作ったオリジナル商品。
最先端で商品を開発したと想い上がっているのか、価格が高すぎる。
半値、いや1/10でも高く感じる高齢者も多いのではないか。
大量生産すれば世界中に普及し、国々から更に新しいアイディアや技術が導入され、進化していくことは間違いない。

やはり日本の国はガラパゴス共和国なのであろうか。いや違う。
高齢者といわれる人々が大半を占める日本の国で、政治家も社長連中も70歳を越える人々が多い。
カクシャクと業務をこなし、その上で社会の「ゆがみ」を是正しようと元気良く生活している人達。
最先端の技術と思いやりを駆使すれば、日本こそ「明るい高齢化社会」のお手本になるのである。

来年70歳になるワシもヤッテヤローではないか!見ておれよー!

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