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わが街・この人

我が街この人 vol.71

絵手紙講師 徳世 千代子さん(60歳)

栃木県北地域で、何かに頑張っている人をリレー形式でお届けします。
お名前:徳世 千代子さん(60歳)
ご住所:那須町高久乙
TEL:0287-78-2205
ご紹介者様:パッチワーク:寺内さん
寺内さんとのご関係は、パッチワーク繋がり。現在は専ら絵手紙ですが、以前はパッチワークをご趣味とされていました。
徳世さんは、絵手紙の先生をされていらっしゃいます。絵手紙は、簡単に説明すると「絵のついた手紙」のこと(ハガキ に描きますが)。用具は墨と顔彩。墨は青墨(せいぼく)という、少々青味のあるもの。顔彩(がんさい)は水墨画などで使用されている塗料です。
線書き筆を使い墨でりんかくをゆっくりと描き、彩色筆にて着色します。鉛筆で下書きはせず、一発勝負で描きます。筆のブレも、味が出ていい感じになるんですよ。
絵手紙は、初心者であればあるほど墨のにじみ具合や筆遣いなどにアラがあり、味のある絵が描けるんです。慣れるのはよくない、それが絵手紙。
徳世さんは以前、旧西那須野町にお住いでした。絵手紙を始めたのもその頃、今から15年ほど前になります。以前のご趣味だったパッチワーク教室に通っていた時、偶然見た絵手紙に感動し、描き方を学びはじめたのがきっかけとなりました。
町内や教室のメンバーと手紙のやりとりを楽しみ、絵手紙をきっかけにいろいろな方との出会いも多くなりました。
しかし、ご主人が転勤となり関西での生活をはじめることに。知人も無く、お子さんも高校卒業していたのでなかなかご友人が作れずにいました。そんな徳世さんを支えてくれたのが絵手紙でした。皆との、そして絵手紙の恩師でもある関谷先生とのやりとりは、ひと月に3~5枚にもなりました。「何千枚もの宝物です」と、徳世さん。
その後、ご主人が定年退職となり栃木県に戻った徳世さんは日本絵手紙協会に通い、公認講師の資格を取得しました。
「絵手紙のあたたかさを人に教えたい」と思うようになり、教室を開くに至りました。
現在は旧西那須野町の公民館などで教室を開いています。「那須自然の家」にて、特学生徒さんに絵手紙を教えたり、西那須野町絵手紙クラブ でのスケッチ旅行や那須野が原公園で、絵手紙展を開いたりと様々なご活躍をされています。
仕事ではなく、趣味が高じてのスキルアップ。なんとも理想的なカタチです…
墨でりんかくを描く際には、筆の上の方を持つんです。そして、ゆっくり描いていきます。集中しないと筆がとんでもない方向へと行ってしまうので注意。徳世さん曰く「紙から絵がはみ出すように描く」とのこと。目立たせたい部分(りんごなら「へた」の部分など)から描いていきます。
「ハガキの白い部分が無いくらいに大きく描くのが好きです」と、徳世さん。絵のモデルとするものは、実物を見て描きます。手で実際に触ってみたり、においを嗅いでみたり撫でてみたり。今回のモデル、りんごは難易度が高いそうです…
「絵手紙は、心の中を紙にぶつけます。描きながら湧き出る言葉を書きます。後で見ると恥ずかしい文章だったりしますが、その時の気持ちを書くのが大切」
と徳世さん。手紙なら勢いで言葉にできない文章を書けちゃったりしますよね。メールや電話などでは伝えられないあたたかさを感じさせてくれます。講師として「技術ではなく、心を伝えていきたい」という徳世さん。話していて、絵手紙に対する愛情やあたたかさがこちらにも伝わってきていました。

左の写真は、旅行に行った際に描きとめた折帳です。下のように広がって描けるようになっています。裏側もきっちりと描きこまれ、もう何冊もたまっている思い出の品。この折帳は、ご主人やご友人との旅行に行く際、必ず持っていく旅のお供のひとつです。携帯用の画材道具(ダーマトグラフと鉛筆)を持って、その場所で直に描きます。
もちろん下絵なしの一発描き。
「バスなどで移動している際は速写で描きます」絵に描くために場所なり風景なりをじっと何度も見つめることは、写真で残すよりずっと思い出に残りますよね。
徳世さんは自分の絵手紙にワンポイントアイテムとして、消しゴム印を使用しています。季節によって使い分けられるよう、なんとも多くの消しゴム印が保管されていました。
これらは全て手作りです。大きめの消しゴムを彫刻刀やカッターなどで削り、形にするんです。この消しゴム印は絵手紙教室でも教えているとか。
花の印を押す際には葉っぱ部分と別に作成して、違う色のインクを使用する等のこだわりよう。もともと手先が器用なんですね!
今後は「羅漢さまや石仏、はにわのような文化的で古いものを描いてみたい」と徳世さん。絵手紙を深く長くきわめたいということで、他の趣味にお時間を割く余裕がないご様子でした。目標に向かいまっすぐ進む情熱がうかがえました。
「デイサービスセンターなど、御依頼いただければお伺いいたします」とも。絵手紙を描くのは難しいものではないので、大人でも子供でも道具さえあれば、 すぐに描くことができます。興味のある方、素敵な絵手紙年賀状にて挑戦してみては…?
左の物体は、私が取材時に作成したものです…紙が白いですね!
この作品は先日、手紙として使用しました。描いたものは記念として取っておきたかったのですが「手紙として出すべきです」という徳世さんのお言葉を聞いて、遠方の友人に出してみました。「これどうしたの??」と驚いてくれて、出してみて良かったなと後に思えました。手紙 って良いものだと再確認できました。ありがとうございます。