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わが街・この人

我が街この人 ~追悼~

樺島 弘文さん

2012年3月20日 樺島さんは急病のためお亡くなりになりました。
謹んで哀悼の意を表します。



以下の記事は、2009年3月に掲載致したものです。

 
栃木県北地域で、何かに頑張っている人をリレー形式でお届けします。
お名前:樺島 弘文さん(53歳)
ご住所:栃木県那須郡那珂川町矢又1598-1
連絡先:TEL:0287-92-5331
ご紹介者様:いわむらかずお絵本の丘美術館の岩村さん
ご紹介者のいわむらさんとは、那珂川町(馬頭地区)の産業廃棄物処理場予定地の自然を守る活動の中で知り合ったのだとか。
表題の『馬頭のカバちゃん』は、樺島さんが書かれた本の題名でもあります。そして、地元那珂川町では、馬頭にいるカバちゃんということで有名人で もあります。
樺島さんは、北海道生まれの東京育ち。46歳の時に奥様と当時小6の終わり頃だった息子さんと3人で 東京からこの地に越して来ました。息子さんは現在大学生で家をはなれており、馬頭には、奥様とコーギー犬が一緒です。樺島家は鷲子山上神社の麓の里山に静かに佇んでいました。庭で菜園を行いながら、文筆業をこなし、地域に根ざしてお住まいの様子でした。
氏曰く『田舎移住の計画は40歳になった頃から 持ち続けていて、休みのたびに千葉の房総や秩父、八ヶ岳とか回っていたんです』とか。
『仕事を辞めたら林業をしたいと思って森林組合の講習も受けたりしたんです』と。
奥様の反対を数年がかりで説き伏せ、息子さん に田舎の良さを言い聞かせての引越しとなったんです。『女房は越してきてから1年くらいはぶつくさ言っていましたが、今ではすっかりここの暮らしに溶け込んでいますよ』。とても明るい性格の奥様は、山野草や山菜を摘んだり、自然を楽しんだり 、趣味で押し花を習っているのだとか。近隣の方々とうまくお付き合いが出来ているのもご夫妻のお人柄ですよね。
この地に移り住んでから困ったことはありますか?の問いには『困ったことはありませんが、驚いたことはいくつかあります。それは、この地域にある冠婚葬祭のしきたりが最初でした。法要で女性陣がお念仏をあげるんですよね。それがわからなくて…今ではMYち~んもあるんです』と奥様。
馬頭町は数年前に小川町と合併して那珂川町になりました。樺島さんが馬頭に移住する決め手になったのはどういうところなのかをたずねたところ『自分のイメージする里山と合致したこと、住人の人柄がよいところ』とのこと。確かに、移住組がたくさんいる場所だと、昔ながらのしきたりが薄れているところもあるようですからね。
樺島さんが現在取り組まれている那珂川の自然と環境を守る会では、写真の備中沢に計画されている産業廃棄物処理場の建設に対して反対の運動をしています。この美しい森を破壊していいのでしょうか? 町内の別の場所に不法投棄された産廃を処分するために処理場を作るということも住んでいる人々にとっては大問題です。
樺島さんは、かつてビジネス総合誌プレジデントの編集長を勤めていました。プレジデントとは、最新の経済情報、今すぐ役に立つビジネス情報を満載したよく売れている月2回発行 の総合誌です。定年でこちらに移住したのではなく、46歳の働き盛りで、しかも高額の年収を捨てて『田舎に住みたい一心』で移住を決意されたのはとても勇気のいったことだろうと思います。
プレジデント社は、即戦力を望む出版社で、樺島さんも31歳の時に入社したんだそうです。とにかくハードに働きました。午前様は当たり前の世界です。 『でも楽しかったですよ。突撃取材も多く、禅寺にこもり、修業しながらの取材もあった り、政治家との対談もあったり』。15年間のプレジデント社での経験も大きな財産となっています。
『こちらに来て、文筆業とは一線を隔した仕事をしたかったのですが、大工さんという夢はこの家を立てた棟梁に反対されまして…トマト農家のパートもしたのですが、無理でした』
結局プレジデント時代の経験を生かして、フリーのライターとして活動をしています。その間、『会社を辞めて田舎へGO』と『馬頭のカバちゃん』を出版し、人気を呼んでいます。また、講演の依頼もあり、田舎暮らしについてを語っているのだとか。皆さんも聞いてみたいと思いませんか?
大雪の日の取材となりました。道路まで出てくださった奥様ありがとうございました。
メディアの方への取材なんて畏れ多いと思っていましたが、お2人ともやさしく迎えてくださりありがとうございました。
この地で、樺島さんの思いが満喫されているようで嬉しく思います。また、とちぎの良さを発信していただければと思います。